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September 27, 2004

きんの映画評・vol.2

きんの映画評vol.2→『笑の大学』

『笑の大学』

三谷幸喜さんの数多くの舞台作品の中でも、かなり完成度が高いとされているそうで・・・こんな言い方しちゃうのには、実はわけがあります。この作品の初演を、確か青山円形劇場で観たのですが・・・あまり記憶に残ってないんです。そして笑った印象がほとんどない!そういうと、この舞台を観た殆どの人に「え~?!なんでぇ~?!」と言われます。相当面白かったんでしょうねぇ・・・でも、なんでだろ?見る前によっぽど面白くないことがあったんだろうか?機嫌が悪かったんだろうか?ホントに記憶にないなあ・・・でもそのおかげで映画を新鮮に観る事が出来ましたが。

さてこのお話をかいつまんで説明しましょうか。
昭和15年の浅草。戦争の匂いが強くなってきた為、芝居の台本にも検閲が入ることに。笑いを徹底的にカットする検閲官、向坂と、その指示に必死に従いつつも、その制約の中に笑いの要素を見出し、ギャグを入れてしまう喜劇劇団の座付作家、椿。7日間で彼らは意外にも、傑作を創り上げてしまうのだが・・・。
というお話。とにかく笑った、笑った!もう殆どのシーンが役所広司氏と稲垣吾郎氏のさしの勝負ですが、特に役所さんの、堅物の持つ面白さ、滑稽さが、ごく自然に滲み"出してる"。えーと、"出てる"んじゃなく、"出てる"ように、"出してる"感が私にはありました。ちょっと日本語が変だけど、伝わるかなあ、このニュアンス・・・。
制約が出てくるほど、別角度からアプローチしなくちゃいけなくて、それが新しい方向性を生み出して面白くなる。そんな、逆境を逆手にとって笑いに変えていく様にただただ感心!これはもはや「コメディの作り方講座」です。

もちろん笑わせるだけじゃありません。ホロリとさせてくれるところもありますが、この作品の中で、ガッと心に焼きついたシーンがありました。検閲官・向坂が仕事帰りに、椿が書いた喜劇をやっている芝居小屋へ初めて入るシーン。劇場の中で観客達が大爆笑しているその中で、彼が肌で感じた、観客の笑い声、充実感、パワー、楽しむということ。そんな劇場の雰囲気を映しているシーンに感動しました。私が憧れるのは、こういう劇場の空気感なんです。この空気を共有する事ができることが何より幸せ。お客様の笑い声や反応が自分にとってのパワーなんです。向坂はこの雰囲気に圧倒されますが、すぐに魅了されます。今まで知らなかった、笑いに満ちた世界。そして私たち、創り手側の憧れでもある、観客の喜び溢れる世界。「映画館もこんな雰囲気になったらいいなあ」と願う監督の思いが、片隅に隠れてるような気がして、勝手にジーンとしてしまいました。
笑いに対して正反対の二人が過ごした7日間と、いつしか生まれた切ない友情にどっぷりハマるはず!笑って泣きたい人に、自信を持ってお勧めします。

ところでこれ、94年にNHK-FMのラジオドラマとしてO.A.されたそう。で、おっどろいたのがキャスティング。作家・椿を当時の板東八十助、そして検閲官・向坂をななななーんと!座長がやったそうです。あー、それが聞きたい!!

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